樹齢30年の葡萄 + ほどよい樽使い = しなやか
シャトー・ナルドは決して派手なタイプのワインではありません。
産地もA.O.Cコート・ド・フランというボルドーのアントル・ド・メール地区のマイナーな地域で、そこに植わる樹齢30年を超えるメルローを中心に丁寧に栽培・醸造を行い、その畑が持つ「テロワール」を最大限に表現することに力を注いでいます。
香りはベリーとフレッシュなアプリコットの綺麗でジューシーな香りに、樽に由来するカフェ・オレっぽい香ばしさが絡み合い優しい印象です。
そして味わいは、角のとれた丸みのあるタンニンと、程よい酸味、そして果実の素直な甘味が程よくバランスし、違和感なく喉に滑り落ちていきます。
ボルドーワインで感じるテロワール
デイリーな価格帯のボルドー・ワインには、売れっ子コンサルタントの名を借り、画一的なワインを造るシャトーが多いなか、今回ご紹介のシャトー・ナルドはその対極とも言うべき生産者のポリシーが前面に出た「テロワールを感じる」ボルドーワインを造っています。
ギュット凝縮した濃い紫色で、完熟したベリーとフレッシュなアプリコットの上品なフルーツバスケットを思い浮かべる香りが立ち上り、そこにカフェ・オレのような香ばしいニュアンスが加って、口に含むとメルロー特有の角のとれたまろやかなタンニンが口に広がり、柔らかくミネラリーな印象がボルドーらしさをかもし出しています。
化粧をしていないすっぴんのボルドーという印象です。
現地で日常的に飲まれるワイン
余談になりますが、先日私どものスタッフの一人がボルドーへ旅をしてきました。
ボルドーというと、グラン・ヴァンに代表される格付けシャトーの華やかでゴージャスなイメージが先行しますが、現地に赴くと昔から所有する畑と真剣に向き合い、テロワールを意識した造りにまい進する生産者が数多くいるそうです。
そんな彼らのワインは生産本数も限られており、地元で消費されてしまうものも多く、なかなか輸出されることはありません。
彼女が生産者のポリシーに心底ほれ込みお土産に持ち帰ってくれたワインは、メルロー本来の活き活きとした酸味と果実味が生き、素性のよさが前面に出ている、飲むほどに体が生き返るような新鮮なワインでした。
通り一辺倒なボルドーばかり、思い起こしてしまう私には彼女がしてくれた話も、お土産にいただいたワインもとても新鮮で、ワイン本来のあるべき姿を考えさせられた出来事でした。
葡萄の素性のよさと丁寧な造りを素直に感じるワイン
スタッフが持ち帰ったワインはあいにく日本には未入荷でご紹介することは出来ないのですが、こんな経験をした矢先、出会ったのがこのシャトー・ナルドです。
これまでのボルドーワインの概念を少し変えてくれる、葡萄の素性のよさと丁寧な造りを素直に感じることの出来るワイン。
シャトー・ナルドは決して有名なワインではありませんが、その受賞歴の多さからも分かるとおり、秀逸なデイリー・ボルドーです。
体の中に違和感なく入っていく味わい、毎日のお食事のおともにひお試しくださいませ! |