天才ジャコモ・タキス、引退間際に完成させた赤
イタリアワインを世界レベルのワインに引き上げた天才醸造家ジャコモ・タキス。
彼が造り上げたワイン サッシカイアやオルネライア、ソライアなど名だたるワインはあまりにも有名ですので、ワイン好きの方であれば一度は聞いたことのある名前かもしれません。
1960年代から常にワイン界を導いてきたタキス氏もいまや80歳をお迎えになり、第一線を退いてから早3年が過ぎようとしています。
そんな彼が引退間際に娘とともに立ち上げたワイナリーで造るというワインと出会いました!
家族への愛に満ちた滋味溢れる味わい
「パルゴロ(=子供)」という名を持つこのワイン、ナチュラルで余計な化粧は一切されていないにもかかわらず、湧き上がるような力強さを兼ね備えており、実に味わい深く旨みに溢れるワインなのです!
しっかりと樽を効かせた濃厚なワインを造っていた彼が最終章に選んだのはこのスタイルなのか!とハッとさせられるクラシックな味わいのワイン。
栓を抜いてから少しづつ増していく香りは彼のノスタルジーも感じさせる素直に美味しい、そして、口にしていると肩の力が抜けるような、なんとも郷愁に満ちた味わいです。
超少量生産、大切な人のための手造りワイン
このワインが造られる畑は、タキス氏の長年の仕事仲間であり、家族ぐるみの付き合いを続けるアンティノリ家から譲り受けた優良畑。
その畑の横に今も暮らす彼は、娘にこの貴重な畑をプレゼントしつつ、自らも醸造家として、ワイン完成までの道のりを指揮してきました。
ファーストヴィンテージがリリースされた2007年はワインの誕生とともに、愛する孫の誕生とも重なりタキス父娘にとっては忘れがたい年となったようです。
親子二人で造る完全手作りのワインということもあり、生産本数は非常に少なく(正確な本数は把握できなかったのですが5-6000本程度)、派手な宣伝もしていない、本当に特別なワイン。
ジャコモ・タキスのワイン界への貢献に思いを馳せながら、大切な方とゆっくりと召し上がっていただきたい、上質でピュアな赤ワインです。
じわじわと広がる力強い旨み
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赤い果実やカカオの香ばしさにオリエンタルのスパイス、そして、グラスを回すと湧き上がる干草や土の力強い香り!口に含むとスルッとした印象で軽いのかと一瞬思うのですが、2秒ほどするとたっぷりとしたタンニンとほどよい酸味が広がりボリュームを感じます。
味わいのバランスのよさ、そして香りの豊かさが恵まれた土壌からできた葡萄の素性の良さを思わせ、ジャコモが描く原風景が見えるようで飲みながら心優しい思いに満たされる味わいです。
時間とともに花開いていくので是非ゆっくりと召し上がってください。
美味しいです!!
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アンティノリから贈られた特別な畑 |
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このワインが造られるのはジャコモの長年の盟友「アンティノリ」のピエーロ・アンティノリ氏から贈られた畑です。現在も彼はこの畑の向かいに暮らしながら最愛の娘が手がけるこのワインを全面的にサポートし、今まで培ってきた彼の経験の全てをこのワインに注ぎこみました。
畑の広さは1.5ヘクタールでサンジョベーゼが80%、メルローが20%栽培されています。
娘イラリアは畑での仕事をとても大切にしており、「自分の庭を手入れするように丁寧に世話をしている」と公言しています。実際、何度も剪定を行い、一切農薬は使用していません。収穫は全て手作業で行われ、収穫を終えるとその日のうちに醸造が始まります。
時間をかけた醗酵作業ののち、フレンチオークの小樽で18ヶ月ゆっくりと熟成しながら瓶詰めの日を迎えます。
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運命的なファースト・ヴィンテージ |
ファースト・ヴィンテージ2007年は、ジャコモにとっての孫、イラリアの息子リカルドの誕生の年とも重なり、彼らはこのワインに「PARGOLOパルゴロ」と名づけました。
パルゴロというのはトスカーナ地方の方言で「子供」という意味です。
毎年変わるラベルデザイン
ラベルには地元とトスカーナに在住するドイツ人画家アナベラ・ディカートによって「こうのとり」が描かれています。この絵はヴィンテージごとに新しいデザインが採用されています。
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生産者イラリアと長男リカルド
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深い尊敬と賛辞を受けるジャコモ・タキス氏 |
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2011年、イタリアソムリエ協会によって行われた「ジャコモ・タキス表敬式」に出席した際のジャコモとイラリア。
すでに現役を退いて時間も経ち、イラリアは父がこの式典に耐えられるのか、かなり心配していたようですが、この会では参列した今とときめくイタリアワイン界の重鎮たちから、ジャコモへの心からの賛辞が贈られ、参加者全員が感動のうちに幕を閉じたということです。 |
この式典のレポートは検索すると色々と出てくるのですが、ジャコモ・タキスがいかに偉大で、人々から敬愛される人物なのかが伝わってきて、そんな偉大な彼が最後の一仕事として、娘とともに造り上げたワインを口にすることができて、幸せだな、、、としみじみ感じてしまいました!
是非、皆様にもこのワインを召し上がっていただければと思います。
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