天才ジャコモ・タキス、引退間際に完成させた赤
イタリアワインを世界レベルのワインに引き上げた天才醸造家ジャコモ・タキス。
彼が造り上げたワイン サッシカイアやオルネライア、ソライアなどのスーパータスカンはあまりにも有名ですから、ワイン好きの方であれば一度は聞いたことがあるかもしれません。国内だけで消費されることが多かったイタリアワインを世界レベルのワインへと引き上げた彼は1960年代から常にワイン界を先導していましたが、80歳を機に第一線を退きました。
そして、引退とほぼ時を同じくして愛娘とともに立ち上げたワイナリーが今回ご紹介する パルゴロなのです。
家族への愛に満ちた滋味溢れる味わい
「パルゴロ (=子供)」という名を持つこのワイン、ナチュラルで余計な化粧は一切していないもにかかわらず、湧き上がるような力強さを兼ね備えており、実に味わい深く旨みに溢れるワインなのです。
しっかりと樽を効かせた濃厚なワインを造っていた彼が最終章に選んだのはこのスタイルなのか!とハッとさせられるクラシックな味わいのワイン。
栓を抜いてから少しずつ増していく香りはノスタルジーも感じさせる素直に美味しく、口にしていると肩の力が抜けるような滋味のある味わいです。
超少量生産、大切な人のための手作りワイン
このワインが造られる畑はジャコモ・タキス氏の長年の仕事仲間であり、家族ぐるみの付き合いを続けるアンティノリ家から譲り受けた優良畑。その畑の横に今も暮らす彼は、娘にこの貴重な畑をプレゼントしつつ、自らも醸造家としてワイン完成までの道のりを指揮してきました。
ファーストヴィンテージがリリースされた2007年はワインの誕生とともに、愛する孫の誕生とも重なりタキス父娘にとっては忘れ難い年となったようです。
親子二人で手がける感染手作りのワインということもあり、生産本数は5〜6000本と非常に少なく、派手な宣伝もしていない特別なワインです。大切な方とゆっくりと楽しみたい上質でピュアなワインです。
アンティノリから贈られた特別は畑
このワインが造られるのはジャコモの長年の盟友「アンティノリ」のピエーロ・アンティノリ氏から贈られた畑です。なくなる直前まで彼はこの畑の向かいに暮らしながら最愛の娘が手がけるこのワインを全面的にサポートし、今まで培ってきた彼の経験の全てをこのワインに注ぎこみました。
畑の広さは1.5ヘクタールでサンジョベーゼが80%、メルローが20%栽培されています。 娘イラリアは畑での仕事をとても大切にしており、「自分の庭を手入れするように丁寧に世話をしている」と公言しています。実際、何度も剪定を行い、一切農薬は使用していません。収穫は全て手作業で行われ、収穫を終えるとその日のうちに醸造が始まります。
時間をかけた醗酵作業ののち、フレンチオークの小樽で18ヶ月ゆっくりと熟成しながら瓶詰めの日を迎えます。
運命的なファーストヴィンテージ
ファースト・ヴィンテージ2007年は、ジャコモにとっての孫、イラリアの息子リカルドの誕生の年とも重なり、彼らはこのワインに「PARGOLOパルゴロ」と名づけました。
パルゴロというのはトスカーナ地方の方言で「子供」という意味です。
毎年変わるラベルデザイン
ラベルには地元とトスカーナに在住するドイツ人画家アナベラ・ディカートによって「こうのとり」が描かれています。
この絵はヴィンテージごとに新しいデザインが採用されています。
深い尊敬と賛辞を受けるジャコモ・タキス氏
2011年、イタリアソムリエ協会によって行われた「ジャコモ・タキス表敬式」に出席した際のジャコモとイラリア。
すでに現役を退いて時間も経ち、イラリアは父がこの式典に耐えられるのか、かなり心配していたようですが、この会では参列した今とときめくイタリアワイン界の重鎮たちから、ジャコモへの心からの賛辞が贈られ、参加者全員が感動のうちに幕を閉じたということです。
この式典のレポートは検索すると色々と出てくるのですが、ジャコモ・タキスがいかに偉大で、人々から敬愛される人物なのかが伝わってきて、そんな偉大な彼が最後の一仕事として、娘とともに造り上げたワインを口にすることができて、幸せだな、、、としみじみ感じてしまいました!
是非、皆様にもこのワインを召し上がっていただければと思います。
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