【アンドレア・パオレッティ】
Andrea Paoletti
公式ホームページ:−
(以下輸入元資料より)
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アンドレア・パオレッティはアンティノリの栽培家からフリーに転身後にオルネライアでコンサルタントを務め、その後アメリカやニュージーランドをはじめ世界中の顧客にコンサルタントを行っておりました。
しかし栽培のコンサルタントは醸造コンサルタントとは異なり年に何度もその畑へと出向き丁寧な指導が必要な為、現在は仕事の質を維持する事を目的として、遠方での仕事はすべて断り、イタリアをはじめ、ヨーロッパ中心に仕事をしております。
人気のピノ・ネロ「フォルトゥーニ」やモレッリーノ・ディ・スカンサーノの新たなスター「ロッカペスタ」
ジャパン・ワイン・チャレンジ二冠の「トライーニ」も
彼のコンサルタントによって生み出されています。
アンドレア・パオレッティにはカリフォルニアのプレミアム・ワイン『ルビコン』で知られる映画監督ランシスコ・コッポラからの依頼をあっさりと断った。という面白いエピソードがあります。
このエピソードはパオレッティの人柄を良く現わしており『キャパシティ以上の仕事を受けると仕事の質が下がる。』というのが理由だそうです。 |
それはアンドレア・パオレッティが手掛ける畑から見受けられる細部にまでこだわった作業を見れば納得がいきます。
「最高のコンサルタント」と呼ばれる栽培家の畑仕事
アンドレア・パオレッティが何故『最高の栽培コンサルタント』と呼ばれるかというと、畑仕事の量や指示の細かさなどが今までにない程、丁寧かつ的確なことが挙げられます。
どれだけ細かい作業を行ったかという一例をあげるとたとえばサンジョヴェーゼの仕立て方法。
葡萄の樹は等間隔に植えられ、ワイヤーに結わえ付ける前年の梢の湾曲させる角度も全て同じに揃えます。
更に芽がすべて等間隔に揃うように芽かきを行います。
しかも等間隔にするのは1本の梢だけでなくワイヤーに結わえ付けられた全ての梢の芽が等間隔になるようにします。
更に、各新梢につける房は2〜3房、1房に対して8枚の葉を残します。
この手間の掛る作業は各房の成熟度合いの均一化を目指すのが目的です。
もちろんこれは一般的なサンジョヴェーゼのクローンでの一例なのでグロッソならばグロッソなり、カベルネならカベルネなりの芽の間隔や葉と房の適正なバランスがあります。
これだけ質の高い仕事を隅から隅まで行っていれば受けられるコンサルタントの数に限りがあるのも頷けます。
ランコーレが産み出される畑では主に地面に近い高さで仕立てた「コルドン」を採用。地面からの熱が葡萄をよく完熟させるとの事。
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また珍しいのが、日差しの強い南イタリアでよく見られる「アルベレッロ」という仕立ても採用。
アルベレッロは葉を傘の様に仕立てる事で果房に日陰を作ってあげる仕立てです。
直射日光を受け続けることで果皮に含まれる香味成分が失われるのを防ぎます。
収獲前の葡萄の果皮にはアロマティックな成分が多く含まれておりますが、直射日光を受け続ける事で、果皮に含まれる香味成分は失われてしまいます。
サンジョヴェーゼの魅力を余す事無く表現したいランコーレにとっては最適な仕立てだと言えますが、その分丁寧なケアが必要となりワイヤーで仕立てるよりも作業は増えます。
余談ですがオルネライアが造るプレミアムメルロー・マッセトの畑でもパオレッティの進言により試験的にアルベレッロを導入したとのことです。
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強烈なインパクトのエチケット、そしてワイン名
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サンジョヴェーゼを扱う世界No.1のワインメーカーとも称されるアンドレア・パオレッティが、年間たった3584本のみしか作らないというだけでもそれなりのインパクトがある事に加えてエチケットのデザイン、そしてワインの名前も強烈なインパクトがあります。
エチケットの中央にはノルウェー出身のエドヴァルド・ムンクの代表作「叫び」がそしてワイン名のRANCORE(ランコーレ)とは怨みです。
弊社も勿論『何故このデザイン。そして名前?』
という事を確認しましたが、『自分で考えてみな』とでも言わんばかりに、簡単には答えてはくれませんでした。
ワインの味わいはラベルや名前とは裏腹に『さすがイタリアで一番の栽培・醸造家』と頷けるワインに仕上がっております。
「丁寧に栽培され、葡萄のポテンシャルに合わせた絶妙な樽使い」
サンジョヴェーゼの魅力が思う存分に楽しめる名前やラベルのイメージからは程遠い、幸せな気分にさせてくれます。 |
ここからは仮説です。
なぜ『叫び』であり『恨み』なのか。
それは過剰な抽出や強い樽香を好む一部の生産者へのメッセージではないでしょうか?
葡萄やテロワールの個性を発揮してもらえず世に送り出されたサンジョヴェーゼの恨みであり本来の魅力を発揮できなかったサンジョヴェーゼの叫びなのではないでしょうか?
是非皆様が実際に手に取って頂きワインに隠した生産者の真のメッセージを見つけて頂ければ幸いです。
以下は参考ですが『叫び』を描いた時のムンクの日記です。
もしかしたらパオレッティがワインに込めた
真のメッセージに近づくヒントになるかもしれません。
[エドヴァルド・ムンクの日記より]
私は二人の友人と、歩道を歩いていた。
太陽は沈みかかっていた。
突然、空が血の赤色に変わった。
私は立ち止まり、酷い疲れを感じて、柵に寄り掛かった。
それは炎の舌と血とが、青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。
友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え戦いていた。
そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聞いた。 |
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世界の評価
ダニエル・トマセスがイタリアの代表的経済紙「Il Sole-24 Ore紙」のウェブ・サイトにてランコーレを以下のように紹介しております。
掲載文章抜粋
イタリアで一番腕の良い醸造・栽培家の一人のアンドレア・パオレッティ。
80年代の後半にフィレンツェ大学を卒業した若いパオレッティはシャトー・ラフィット・ロートシルトなどで研修を経て30歳になる前にはアンティノリの全栽培責任者になった。
1995年より現在至るまでフリーでイタリア、トルコ、グルジア、モンテネグロ、ハンガリー、欧米等の様々な国でコンサルタントとして活躍している。
ナパヴァレーでワインを造っている映画監督のフランシスコ・コッポラもパオレッティを採用したかったが断られたと言う。
パオレッティには輝かしい経歴があるが彼自身はコンサルタントの仕事だけでは満足していないようだ。
恐らくコンサルタントとしてでは100%自分の哲学をワインに表現できないから自分自身のワインが必要だと感じたのだろう。
パオレッティはフィレンツェの南に自分で植えた葡萄から「ランコーレ」を産み出した。サンジョヴェーゼに関する知識に世界で最も長けているのはパオレッティかもしれない。年産はたったの5000本。
皆さんはモダンなテクノロジーとテロワールに対するパオレッティの情熱の融合を感じる事ができるだろう。
ワイナート53号掲載記事より
ワイナート53に「ピノ・ネロに挑むふたりの栽培家」というタイトルでアンドレア・パオレッティが掲載されました。掲載文章の中ではランコーレに5%ブレンドされているピノ・ネロについて語られております。
[掲載文章抜粋]
パオレッティさんご自身のワイン、ランコーレは、トスカーナでは珍しいピノ・ネロが5%入ったセパージュのワインですが何か特別な意図があるのですか?
「1980年代、アンティノーリで最初に研究したのがピノでね。その分思い入れも大きく、加えたかった。ピノに由来する独特の熟したプラムの香りをもった個性的なワインになったんだけど、果実味にあふれたソフトで甘美なワインにしたい。」
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