オールドヴィンテージワインをご購入いただく際に知っておいて欲しいことのひとつにワインには種類によってそれぞれどのくらいの期間の熟成に向いているか、また耐えることができるかが異なると言う点が挙げられます。
一般に白ワインは数十年と言った長期の熟成には不向きとされ、重くて渋いタイプの赤ワインは長期熟成タイプだと言われていますが、「モンラッシェ」のように白ワインの中にも数十年立って尚美味しいものもありますし、赤ワインでもそのピークが短く、長期熟成には不向きなものもございます。
その違いは葡萄品種やワインの造り方、またその年の葡萄の出来不出来などに影響されるため一概には言えないのですが、そのおおよその傾向はありますので、ご参考にしてくだい。
フランス・ボルドー地方
ボルドー地方のワインは、赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランのブレンドで、多数の優れた長期熟成ワインを造り出しています。
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メドック地区 |
ボルドー地方を代表する最も有名な地区で、メドック1級、5大シャトーと言われるあのシャトー・マルゴーやムートン・ロートシルト、ラフィット、ラトゥールもここで造られます。力強さと優雅さを兼ね備えた長期熟成タイプのワインです。
1855年に開催されたパリ万国博覧会で、数あるワインの中から選ばれた58のシャトー(1〜5級)は、オー・ブリオンを除いた全てがメドック地区のものでした。以後メドックの格付けシャトーといえば、権威ある高級赤ワインとして世界中に知られています。
中でもポイヤックは、ムートン、ラフィッ、トラトゥールと、3つのシャトーが位置しており、
しっかり骨格のある、タンニンの強い、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインを造ります。
サン・テステフ辺りになるとメルロの比率が若干高まり優しさが加わります。
若いうちはタンニン分が豊富でスパイシーな特徴のあるメドックのワインも、熟成と共に複雑味が増し、エレガントで滑らかなワインになります。
1855年のメドック格付けに入らなかったシャトーの中でも、ヴィンテージワインにクリュ・ブルジョワ級という格付けが行われました。また、格付けされていないワインにも、長期熟成のポーテンシャルの高いワインが多く見られます。
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グラーヴ地区 |
ボルドー市の南、ガロンヌ川左岸に広がる大きな地域がグラーヴ地区にあたります。 ここにあのシャトー・オーブリオン、グラーヴ地区でありながら唯一、メドック地区の格付けに「1級」として選ばれた有名シャトーがあります。
グラーヴ地区の中でも優れたブドウ畑は北部に集中しており、ぺサック・レオニャンという独自のアペラシオンが出来ました。
カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に長期熟成に向いたワインで、メドック地区に比べてエレガントさが感じられます。
グラーヴ地区には独自の格付けもあり15シャトーが選ばれていますが、格付けがなくても評価の高い素晴らしいワインが多いので、格付けにこだわる必要はありません。
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サンテミリオン
地区 |
上質なメルロが生まれる最良の地、サンテミリオン。
派手なイメージの強いメドックに対して、規模が小さいサンテミリオンですが、シャトー・オーゾンヌ、シュヴァルブランを筆頭に数々の名のあるプルミエグランクリュに続き、驚く程高値で取引されるヴァランドローなどのシンデレラワインが次々と登場し、人気シャトーの宝庫となっています。
サンテミリオン地区のワインは1955年以来独自の格付けがあり(2006年の見直後)、第1特別級は15シャトー、中でもオーゾンヌとシュヴァルブランはシャトーAとして別格の扱いを受けています。
この他に46の特級が格付けされています。
サンテミリオンのワインは一般的にメルローのブレンド比率が高く、しなやかで滑らか、カベルネソーヴィニヨンに比べ、タンニン分が柔らかく果実味に溶け込んだ柔らかい印象があります。
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ポムロール
地区 |
シャトー・ペトリュスをはじめ、ボルドーの最高級赤ワインの多くがこの地区で造られています。公式の格付けは行われていませんが、数多くの上質な長期熟成ワインを造り出しています。
サンテミリオン同様、メルローが主体で優しく滑らかなワインになります。
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ソーテルヌ
地区 |
世界の三大貴腐ワインのひとつとして非常に有名な地域です。
貴腐ワインとは、貴腐菌によって葡萄の水分が奪われ、糖分が凝縮されたところで収穫された葡萄から作られる高級甘口ワインです。
甘いだけではなく、コクと深みがあり、長期熟成にも耐えます。
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フランス・ブルゴーニュ地方
ブレンド比率が重要となるボルドーワインに対して、ブルゴーニュ地方の赤ワインはピノ・ノワール、白ワインはシャルドネという単一品種を100%使用しています。
熟成したピノノワールの素晴らしいものと言えば、きのこやチーズなどの複雑な味わいや優雅さを兼ね備えた偉大なワインとしてワイン愛好家に親しまれています。
ブルゴーニュの格付けは地方、地区、村、そして特定の畑にかかります。
その中でも特に素晴らしい畑をプルミエ・クリュ(第一級畑=Premiers Crus)、更に特別な畑をグラン・クリュ(特級畑=Grands Crus)としています。
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コート・ド・ニュイ地区
黄金の丘「コート・ドール」の北半分、ブルゴーニュを代表する世界最高峰の赤ワインの生産地です。 |
ジュヴレ・
シャンベルタン村 |
シャンベルタンを含む9つの特級畑があり、色が濃く、ニュイ地区の中でも一番の力強さがある赤ワインと言われています。 |
モレ・サン・ドニ村 |
クロ・ド・タールを始めとする5つの特級畑があり、赤ワインは優雅さの中にも力強さがあるのが特徴です。白ワインも生産しています。
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シャンボール・
ミュジニー村
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ニュイ地区の中では最も優しく女性的な赤ワインだと言われています。2つの特級畑あり、繊細な香りと柔らかな酸味が特徴となります。
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ヴージョ村
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村のほとんどをカバーする特級畑クロ・ド・ヴージョには、70人の造り手が所有しています。
しなやかさと力強さを持ち合わせた赤ワインを産出し、白ワインも造っています。
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ヴォーヌ・
ロマネ村 |
あの、ロマネ・コンティの畑があるのがここヴォーヌ・ロマネです。
8つの特級だけでなく1級畑も評価が高く、ブルゴーニュで最も偉大な赤ワインを産出すると言われています。 |
フラジェ・
エシェゾー村 |
フラジェ・エシェゾー村のワインはヴォーヌ・ロマネのAOCを名乗ります。 |
ニュイ・サン・
ジョルジュ村
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コート・ド・ニュイ地区の一番南に位置し、特級畑はなく、素晴らしい1級が多く存在します。
赤ワインは男性的と言われ、タンニンの強いのが特徴です。白ワインも造っています。
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コート・ド・ボーヌ地区
黄金の丘「コート・ドール」の南半分は、モンラッシェやムルソーなど、世界で最も評価の高いシャルドネの産地として知られています。長期の熟成でさらに力を発揮するこの地域のシャルドネは、複雑でコクのある高級白ワインです。
赤ワインも生産量の80%を占めており、ニュイ地区よりソフトな味わいの上質なピノ・ノワールも造られています。 |
アロクス・
コルトン村
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伝説の畑、コルトン・シャルルマーニュがあり、特級は白3つ、赤1つの特級畑があります。
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ボーヌ村
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オスピス・ド・ボーヌで有名なボーヌ村は、赤白共に生産しており、畑の70%が1級畑という高水準な地域です。
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ポマール村
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肉厚で男性的なフルボディの赤ワインが生まれます。20%を占める1級畑の中には特級畑に肩を並べるものも少なくないと言われています。
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ヴォルネー村
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ヴォルネー・サントノー等の1級畑を含め、歴史的にも評価の高い赤ワインの産地で、優雅で繊細なワインが多く造られています。
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ムルソー村
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ピュリニーモンラッシェ村と並んで、世界で最も素晴らしいと言われる、豊かな白ワインの生産地として有名です。特級畑はありませんが、ジュヌヴリエール、シャルム、ペリエールは3大ムルソーと呼ばれているほど評価の高い1級畑です。オーク樽で発酵・熟成をすることで、肉厚で円熟した風味のリッチでエレガントなスタイルのワインです。
少量ですが赤ワインも生産されています。
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ピュリニー・
モンラッシェ |
最も偉大な白ワインの最高峰とも言われる「モンラッシェ」を生み出す村です。
余命が長く、じっくり熟成してからこそ本領を発揮するとも言われている白ワインです。
リッチ、肉厚なムルソーに比べ、格調高いミネラルと高貴な酸味が特徴とされています。
少量ですが赤ワインも生産されています。
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シャサーニュ・
モンラッシェ |
ピュリニー・モンラッシェに隣接し、「モンラッシェ」を別け合う村です。
余命が長く、じっくり熟成してからこそ本領を発揮するとも言われている白ワインです。
リッチ、肉厚なムルソーに比べ、格調高いミネラルと高貴な酸味が特徴とされています。
3つの特級畑は全て白ワインですが、赤ワインも多く生産されています。
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