1990年のシャトーマルゴー作柄・出来
ブドウの収穫は殆どひと月続いた。なぜならカベルネは、メルローよりも明らかに熟すのに時間がかかった。私たちはカベルネを完熟させるために、9月
の終わりに10日間収穫を中断しさえした。私たちにチャンスが微笑みかけた。なぜなら素晴らしい天候だったのだから。1990年は、1988年、1989年ととも
に一連の非常に偉大なヴィンテージの三番目に当たる。1988年の古典主義の後に、1989年の豊満さやコクが続いた。1990年はその魅力と非常に偉大な
フィネスによって私たちを直ちに感動させた。結局かなり似ている条件の2つのヴィンテージ1989年と1990年が、これほど異なる特徴の2つのワインを生み
出すとは信じがたい!しかし似ているように見えるこのような条件は、本当はそうではない。時期が悪いと思える大変な暑さや雨や少々長引く乾燥の昼間
の数日の影響について誰が知っているというのか…?
最初から1990年ヴィンテージのワイン、メルロー、カベルネ、プチヴェルドは並外れて魅力的で、芳醇で、ソフトで、引き締まったきめで、心を奪うような果実味を持っていたのだ…。香りと味わいのすべての要素は、完璧なハーモニーが1989年に匹敵する力強さを隠しているこのワインの中で既に見事に溶け合っているように思われる。今飲むことができる。しかも瓶詰めの後あまり時間がたたないうちに飲めたのだから。より偉大な喜びのために、多分20年あるいは30年後に飲むことができるだろう。(2010年5月)
1990年のボルドーメドック地区マルゴー村の気候
穏やかな冬の後に、開花は時期が速かったが、か なり長期にわたり不均質だった。1989年のように、 夏は非常に暑く乾燥したので、8月の終わりには、 若いブドウの木々は乾燥で本当に被害を被ったほ どだった。9月に降った2度の雨が、ブドウの実の 最終的な成熟に非常に都合がよく、収穫は非常に 好天の下で行うことができた。(9月17日の収穫)
セカンドラベル パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー 1990
1990年の非常によい気候条件によって、若いまたは余り若くないブドウ畑のすべての区画は、実際に成熟さにおける素晴らしいレベルに達することができた。それでも区画のいくつかが達した品質の素晴らしいレベルは、ファーストワインのための、特に厳しい選別へと私たちを駆り立てた。もちろんこのことも、アッサンブラージュのときに多くの非常に良質なワインが認められたパヴィヨン・ルージュの偉大な品質に貢献した。
パヴィヨン・ルージュ1990年は、今飲むのに非常に心地よい。特に洗練され、繊細で、すべてが調和してる。しかしさらに美味しくなることは想像しがたい…。私たちは今飲み始めることをお勧めするが、慌てる必要はない。(2011年5月)
白ワイン パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー 1990
赤の非常に偉大なこのヴィンテージは、白には同じ約束を守らなかった。すなわちワインはくたびれているようで、時期尚早に熟成したらしい。
しかしもしかしたらという思いに任せ、2、3年待ってから飲むとしよう。(2004年8月)