5大シャトーの中で唯一格付けを見直させた実力者
シャトー・ムートン・ロートシルトはフランスのボルドー地方メドック地区で造られるボルドー格付け第一級のワインです。現在第一級にはシャトー・ムートン・ロートシルトを含む5つのシャトーがありますが、中でもムートンのあるポイヤック村には、シャトー・ラトゥール、シャトー・ラフィット・ロートシルト、そしてシャトー・ムートン・ロートシルトと、実に格付け第一級の5つのシャトーのうち3つが存在しており、正統派ボルドーの銘醸地であることがわかります。
しかし、1855年のパリ万博に際して行われたボルドーワインの格付けでは、シャトー・ムートン・ロートシルトは下馬評に反して格付け2級にランクされてしまいました。これには、何らかの政治的圧力があったのではないかと当時噂されていましたが、2級となった事実は変えることが出来ず、当時の当主は大いに憤慨し「第一級にはなれなかったが、2級であることをよしとはしない。ムートンはムートンなのだ」とその怒りをあらわにしました。
その後もぶれることなく素晴らしいワインを造り続けたムートンは例外中の例外として、1973年農業大臣によって第一級への昇格を果たすこととなります。この事実を受け「かつて第二級だったが、今は第一級となった。しかし、ムートンは不変である」というメッセージが今もムートンのラベルには書かれています。