2016年のヴィンテージ作柄・出来・評価
フランス
2016年のフランスは、地域による差はあるものの、多くの主要ワイン産地で優れたヴィンテージとなりました。特にボルドーとローヌでは理想的な気候条件に恵まれ、傑出した品質のワインが生まれています。一方、ブルゴーニュやロワールでは春の霜害により生産量が大幅に減少しましたが、残ったブドウからは高品質なワインが造られました。
ボルドー
2016年のボルドーは、傑出した品質と豊富な収穫量を両立させた、非常に優れたヴィンテージとして広く称賛されています。「新時代のグレート・ヴィンテージ」とも称される年で、生育期間を通して理想に近い気候条件が続き、特に赤ワインにとって格別な年となりました。春は湿潤でしたが、夏は非常に乾燥し、ブドウの健全な生育と凝縮を促しました。そして、収穫期には理想的な好天に恵まれ、各品種が完璧な熟度に達しました。
メドック (Medoc) / 左岸: このヴィンテージの最大の受益者の一つであり、特にカベルネ・ソーヴィニヨンが素晴らしい出来となりました。「左岸の年」と呼ばれるほど高評価で、ワインは深みのある色合いを持ち、複雑で表現力豊かなアロマ、力強くもエレガントな構造、そして細かく豊かなタンニンを備えています。
- ポイヤック (Pauillac): シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルト、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ポンテ・カネなどで傑出したワインが生産されました。シャトー・ムートン・ロスチャイルドはワイン・アドヴォケイト誌で100点を獲得しています。
- サン・テステフ (Saint-Estephe): シャトー・コス・デストゥルネル、シャトー・モンローズ、シャトー・カロン・セギュールなどで優れたワインが生まれ、コス・デストゥルネルも100点を獲得しました。
- サン・ジュリアン (Saint-Julien): シャトー・デュクリュ・ボーカイユ、シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ、シャトー・レオヴィル・ポワフェレ、シャトー・レオヴィル・バルトン、シャトー・タルボ、シャトー・グリュオー・ラローズなどで傑出した赤ワインが生産されました。
- マルゴー (Margaux): シャトー・マルゴー、シャトー・パルメ、シャトー・ローザン・セグラ、シャトー・ジスクールなどで優れたワインが見られます。
これらのワインは並外れたフレッシュさと凝縮感を持ち合わせ、長期熟成のポテンシャルは非常に高いです。
グラーヴ / ペサック・レオニャン (Graves / Pessac-Leognan): シャトー・オー・ブリオンやシャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンをはじめとするシャトーが素晴らしい赤ワインと、品質の高い辛口白ワインを生産しました。辛口白ワインも、緊張感と複雑さを兼ね備えています。
サン・テミリオン / ポムロール (Saint-Emilion / Pomerol) / 右岸: メルローも全般的に優れた出来となりました。夏の乾燥と9月の好天により、ブドウは健全に成熟し、豊かな果実味とビロードのような質感を持つワインが生まれました。
- サン・テミリオン (Saint-Emilion): 石灰質台地では、凝縮感とフィネス、そして表現力豊かな特徴を備えたワインが生産されました。シャトー・シュヴァル・ブラン、シャトー・オーゾンヌなどのトップシャトーは、いずれも素晴らしいワインを生産しました。
- ポムロール (Pomerol): 優れたテロワールでは、豊かな果実味を持つ高品質なワインが生まれました。シャトー・ペトリュス、シャトー・ラフルール、シャトー・ル・パンなどが98?99点の高評価を獲得しています。
右岸全体として、左岸と同様に成功したヴィンテージでした。
ソーテルヌ / バルサック (Sauternes / Barsac): 甘口ワインにとっては、全般的に良好なヴィンテージでした。理想的な貴腐菌の発生には至らなかった地域もありますが、満足のいく甘口ワインが生産されました。一部のシャトーでは、豊かなアロマとバランスの取れた甘さ、そしてフレッシュな酸を備えた品質の高いワインが見られます。全体としては、ドライワインほどの特別さはありませんが、良好な年でした。
ブルゴーニュ
2016年のブルゴーニュは、春の厳しい霜と雹害により、多くの地域で収穫量が劇的に減少した困難なスタートとなりました。特にシャブリ、マコネ、コート・ド・ボーヌの一部、そしてコート・ド・ニュイの一部で大きな被害が出ました。しかし、夏以降の天候は例外的に恵まれ、乾燥した暖かい気候が続き、ブドウは健全に成熟することができました。このため、量が極めて少ない一方で、残ったブドウの品質は非常に高い、という特別なヴィンテージとなりました。
コート・ド・ニュイ (Cote de Nuits): 赤ワイン（ピノ・ノワール）は、収穫量が少ないながらも、ピュアで表現力豊かな果実味、凝縮した特徴、そして洗練されたタンニンを備えた、優れた品質となりました。
- ジュヴレ・シャンベルタン (Gevrey-Chambertin): シャンベルタン (Chambertin)、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ (Chambertin Clos de Beze)、シャルム・シャンベルタン (Charmes-Chambertin)、クロ・サン・ジャック (Clos Saint-Jacques) などで、それぞれのテロワールの個性が見事に表現されたワインが生産されました。
- モレ・サン・ドニ (Morey-Saint-Denis): クロ・ド・タール (Clos de Tart)、クロ・サン・ドニ (Clos Saint-Denis)、クロ・デ・ランブレイ (Clos des Lambrays) などでも同様の傾向が見られます。
- シャンボール・ミュジニー (Chambolle-Musigny): ミュジニー (Musigny)、レ・ザムルーズ (Les Amoureuses) などを含むこのアペラシオンでは、繊細さと表現力が際立つワインが生産されました。
- ヴージョ (Vougeot): クロ・ド・ヴージョ (Clos de Vougeot) などでも、エレガントで複雑なワインが見られます。
- ヴォーヌ・ロマネ (Vosne-Romanee): ロマネ・コンティ (Romanee-Conti)、ラ・ターシュ (La Tache)、リシュブール (Richebourg)、ロマネ・サン・ヴィヴァン (Romanee-Saint-Vivant)、グラン・エシェゾー (Grand Echezeaux)、エシェゾー (Echezeaux) などで、それぞれのテロワールの個性が見事に表現されたワインが生産されました。
- ニュイ・サン・ジョルジュ (Nuits-Saint-Georges): 繊細でエレガントなワインが見られます。
収量の少なさが凝縮度を高めています。ワインは深みのある色合いを持ち、複雑なアロマと長い余韻が特徴です。エレガンスと力強さを兼ね備え、長期熟成のポテンシャルも高いです。
コート・ド・ボーヌ (Cote de Beaune): 赤ワインも、霜や雹の被害がなかった地域では品質が非常に高く、ポマール (Pommard)、ヴォルネイ (Volnay)、アロース・コルトン (Aloxe-Corton)（コルトン (Corton)）といった村々で、構造がしっかりしつつもエレガントな赤ワインが見られます。
白ワイン (Chardonnay): 収穫量が極めて少なかった地域が多いものの、品質は傑出していると評価されています。
- ムルソー (Meursault): フレッシュで緊張感のある酸、層の豊かで複雑な風味、そして印象的なミネラル感が特徴です。
- ピュリニー・モンラッシェ (Puligny-Montrachet): モンラッシェ (Montrachet)、シュヴァリエ・モンラッシェ (Chevalier-Montrachet)、バタール・モンラッシェ (Batard-Montrachet) などで、特別な白ワインが数多く生産されました。
- シャサーニュ・モンラッシェ (Chassagne-Montrachet): 同様に高品質な白ワインが見られます。
白ワインは、濃縮感がありながらもバランスが取れており、洗練された仕上がりとなっています。
シャブリ (Chablis): 厳しい霜害に見舞われましたが、残ったブドウからは透明感のあるミネラル感とピュアな果実味を持つ優れた白ワインが生まれました。グラン・クリュ (Grand Cru)、プルミエ・クリュ (Premier Cru) ともに高品質です。
マコネ (Maconnais): 同様に収量は少なかったですが、品質は良好でした。
全体として、ブルゴーニュの2016年は、収量は壊滅的な地域が多い一方、品質は例外的に高いヴィンテージと評価されています。
ローヌ
2016年のローヌ地方は、北部・南部ともに優れたヴィンテージとして広く評価されています。生育期間を通して良好な気候に恵まれ、品質の高いブドウが豊富に収穫されました。
北部ローヌ (Northern Rhone): 主要品種であるシラーにとって傑出した年でした。
- エルミタージュ (Hermitage): 乾燥した暖かい夏と理想的な収穫期により、ブドウは完璧に成熟しました。ワインは深みのある色合いを持ち、凝縮した果実味、複雑なアロマ、そして洗練されたタンニンを備えた、力強くもエレガントなスタイルとなりました。
- コート・ロティ (Cote-Rotie): 同様に優れた品質のワインが生産されました。
- クローズ・エルミタージュ (Crozes-Hermitage): 長期熟成に向く素晴らしい赤ワインが生産されました。
- サン・ジョセフ (Saint-Joseph) / コルナス (Cornas): バランスの取れた高品質なワインが見られます。
ヴィオニエから造られるコンドリュー (Condrieu) や、ルーサンヌ、マルサンヌから造られるサン・ペライ (Saint-Peray) なども優れた出来でした。
南部ローヌ (Southern Rhone): 全般的に優れたヴィンテージでした。
- シャトーヌフ・デュ・パプ (Chateauneuf-du-Pape): グルナッシュを主体とする赤ワインは、豊かな果実味、複雑な風味、そして構造のしっかりした特徴を持ちます。夏場の乾燥がブドウの凝縮度を高め、力強く表現力豊かなワインが生まれました。傑出した品質のワインが広く生産され、フルボディかつ複雑なスタイルが特徴です。
- ジゴンダス (Gigondas) / ヴァケラス (Vacqueyras): 全般的に品質が高く、楽しめるワインが多く見られました。
- タヴェル (Tavel): フルーティで濃厚なロゼワインが生産されました。
全体として、ローヌの2016年は、北部・南部ともに品質が高く、豊富な収穫量にも恵まれた、特別なヴィンテージと評価されています。
ロワール
2016年のロワール地方は、地域によってヴィンテージの評価に大きな差が見られました。春の厳しい霜と雹害により、特に中央ロワールの一部やペイ・ナンテで甚大な被害が出ました。しかし、夏以降の天候は良好で、病害も比較的少なかったため、被害を免れた地域では品質の高いワインが生産されました。
サントル・ニヴェルネ (Centre-Nivernais):
- サンセール (Sancerre) / プイィ・フュメ (Pouilly-Fume): ソーヴィニヨン・ブランの産地であるこれらの地域では、厳しい霜や雹の被害を受けた畑もありましたが、残ったブドウからはフレッシュで表現力豊かな白ワインが生産されました。ミネラル感とさわやかな酸を備えたものが成功しています。
アンジュー・ソミュール (Anjou-Saumur) / トゥーレーヌ (Touraine):
- ヴーヴレ (Vouvray) / モンルイ・シュール・ロワール (Montlouis-sur-Loire): シュナン・ブランの産地であるこれらの地域でも、霜害の影響を受けた畑が多くありましたが、夏以降の好天により品質が向上しました。辛口、半辛口、甘口のいずれのスタイルも、品質の高いものが生産されましたが、収量は限られました。
- サヴニエール (Savennieres): 満足のいくシュナン・ブランが見られます。
- シノン (Chinon) / ブルグイユ (Bourgueil): カベルネ・フランを主体とするこれらの赤ワイン産地では、春の霜害の影響は比較的小さく、夏以降の好天によりブドウは健全に成熟しました。表現力豊かな赤系果実の特徴を持ち、バランスの取れた構造を備えたワインが生産されました。
全体として、ロワールの2016年は、収量の面では大きな打撃を受けた地域が多い一方、品質の高いワインも生産された、ばらつきのあるヴィンテージと言えます。
アルザス
2016年のアルザスは、春先の気候変動の影響を受けたものの、夏以降は比較的安定した気候に恵まれました。リースリング、ピノ・グリ、ゲヴュルツトラミネール、ミュスカなどの主要品種は、酸と果実味のバランスが良く、フレッシュで洗練されたスタイルのワインが多く生産されました。一部の高級畑からは、ミネラル感と複雑さを備えた、長期熟成に向くワインも生まれています。
シャンパーニュ
2016年のシャンパーニュは、春先の霜害や病害の影響はあったものの、夏から秋にかけての気候が安定し、ブドウの健全な成熟が見られました。シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエといった主要品種は、フレッシュさと十分な熟度のバランスが取れており、将来有望なヴィンテージとして評価されています。特に白ブドウの成功が目立ち、エレガントでバランスの良いシャンパーニュが期待できるヴィンテージです。
イタリア
2016年のイタリアは、全般的に優れたヴィンテージと評価されています。多くの主要ワイン産地で理想的な気候条件に恵まれ、品質の高いブドウが豊富に収穫されました。
ピエモンテ (Piedmont): 傑出したヴィンテージでした。
- バローロ (Barolo) / バルバレスコ (Barbaresco): 特にネッビオーロは理想的に成熟し、凝縮感、複雑さ、そして素晴らしい構造を持つ、長期熟成に非常に適したワインが生産されました。クラシックでバランスの取れたスタイルが特徴です。主要な村にはラ・モッラ (La Morra)、モンフォルテ・ダルバ (Monforte d'Alba)、セッラルンガ・ダルバ (Serralunga d'Alba)、バローロ (Barolo)、カスティリオーネ・ファレット (Castiglione Falletto) などがあります。
- バルベーラ (Barbera) / ドルチェット (Dolcetto): これらの品種も優れた出来でした。
ヴェネト (Veneto): アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ (Amarone della Valpolicella) が傑出した品質となり、力強く豊かな風味を持つワインが生産されました。
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア (Friuli-Venezia Giulia) / アルト・アディジェ (Alto Adige): フレッシュで芳香豊かな白ワインや、バランスの取れた赤ワインが生産されました。
トスカーナ (Tuscany): 優れたヴィンテージでした。
- キャンティ・クラシコ (Chianti Classico): サンジョヴェーゼは十分に成熟し、構造と複雑さを兼ね備えた、クラシックなスタイルのワインが生産されました。
- ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (Brunello di Montalcino): 特に品質が高く評価されており、長期熟成のポテンシャルも優れています。豊かな果実味と酸味、しっかりとしたタンニンが調和した長命なワインが造られ、ワイン・アドヴォケイト誌やワイン・スペクテイター誌で98?99点の高評価を得ています。
- ボルゲリ (Bolgheri): 沿岸部のこの地域では、国際品種が優れた出来で、同様に高評価を獲得しています。
ウンブリア (Umbria) / マルケ (Marche): 全般的に良好な結果でした。
南イタリア (プーリア、カンパーニア、シチリア): 地域によって状況は異なりますが、全般的には良好なヴィンテージでした。乾燥した気候と十分な日照により、ブドウは健全に成熟しました。プーリア州 (Puglia)、カンパーニア州 (Campania)、シチリア州 (Sicily) などでは、力強く表現力豊かな果実味を持つワインが生産されました。
全体として、イタリアの2016年は、品質と量の両方に恵まれた、特別なヴィンテージと評価されています。
スペイン
2016年のスペインは、全般的に優れたヴィンテージと評価されています。多くの主要ワイン産地で品質の高いブドウが生産されました。
リオハ (Rioja): 傑出したヴィンテージでした。生育期間を通して良好な気候に恵まれ、テンプラニーリョは理想的に成熟しました。力強く構造のしっかりした、長期熟成に非常に適した赤ワインが生産されました。豊かな果実味と複雑なアロマを備え、クラシックなリオハの特徴を示しています。リオハ・アルタ (Rioja Alta)、リオハ・アラベサ (Rioja Alavesa)、リオハ・バハ (Rioja Baja) の各地域で品質の高いワインが多く見られました。
リベラ・デル・ドゥエロ (Ribera del Duero): 優れたヴィンテージでした。テンプラニーリョ（ティント・フィノ (Tinto Fino) と呼ばれる）は、凝縮感がありながらもバランスが取れ、構造がしっかりしたワインが生産されました。表現力豊かで長期熟成に向くワインが多く見られます。
プリオラート (Priorat): 品質の高いヴィンテージでした。カリニェナ (Carinena) やガルナッチャ (Garnacha) は、凝縮感がありながらもバランスの取れたワインとなりました。
その他の地域: トロ (Toro) やビエルソ (Bierzo) でも良好な結果が得られました。リアス・バイシャス (Rias Baixas) ではアルバリーニョ (Albarino) から、フレッシュで表現力豊かな白ワインが生産されました。
全体として、スペインの2016年は、品質の面で非常に成功したヴィンテージであり、特にリオハとリベラ・デル・ドゥエロの赤ワインは注目に値します。
ドイツ
2016年のドイツは、困難な春の後、夏から収穫期にかけての好天により品質が向上したヴィンテージでした。特に晩収穫ワイン（シュペートレーゼ、アウスレーゼ）や甘口ワイン（ベーレンアウスレーゼ、トロッケンベーレンアウスレーゼ）に注目すべきものが見られます。
春は寒く湿潤で、病害のリスクが高まりましたが、夏は乾燥し暖かくなり、ブドウの成熟を助けました。収穫期には理想的な条件が整い、ブドウは健全な状態で収穫されました。モーゼル (Mosel)、ラインガウ (Rheingau)、ナーエ (Nahe)、ファルツ (Pfalz)、ラインヘッセン (Rheinhessen) といった主要地域で、ピュアな果実味、バランスの取れた酸、そしてミネラル感を備えたリースリングが生産されました。辛口ワインは全般的に良好なものが多く、複雑さとフレッシュさを兼ね備えています。甘口ワインは、理想的な貴腐の発生があった地域では、凝縮感とフィネスを兼ね備えた優れたものが生産されました。
ベルンカステル (Bernkastel)、ピースポート (Piesport)、ヴェーレン (Wehlen)、ヨハニスベルク (Johannisberg)、ルーデスハイム (Rudesheim)、デイデスハイム (Deidesheim) などの主要産地で高品質なワインが生産されています。
全体として、ドイツの2016年は、困難なスタートでしたが、最終的には品質の高いワインが生産されたヴィンテージと評価されています。
アメリカ
2016年のアメリカ、特にカリフォルニア州は、一部で干ばつの懸念がありましたが、全体的には優れたヴィンテージでした。生育期間を通して比較的安定した、そして暖かい気候が続き、ブドウは健全に、そして理想的に成熟しました。
カリフォルニア (California): 乾燥した気候がブドウの病害リスクを低減し、健全な成熟を促しました。
- ナパ・ヴァレー (Napa Valley): カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの品種が高い品質のものとなりました。特に赤ワインは、凝縮感がありながらもバランスが取れ構造のしっかりした、長期熟成向きのワインが生産されました。オークヴィル (Oakville)、ラザフォード (Rutherford)、セント・ヘレナ (Saint Helena)、カリストガ (Calistoga) などのサブリージョンで傑出したワインが見られました。
- ソノマ・カウンティ (Sonoma County): ロシアン・リヴァー・ヴァレー (Russian River Valley)、ソノマ・コースト (Sonoma Coast)、アレクサンダー・ヴァレー (Alexander Valley) などで、ピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種が成功しています。白ワインもフレッシュさと複雑さを兼ね備えています。
- セントラル・コースト (Central Coast): こちらも全般的に良好な出来でした。
オレゴン (Oregon): 成功したヴィンテージでした。ピノ・ノワールやシャルドネは、表現力豊かでバランスの取れたワインが生産されました。
ワシントン (Washington): 暖かく乾燥した気候により、品質の高い赤ワインが生産されました。
全体として、アメリカの2016年は、品質が高く、豊富な収穫量にも恵まれた、優れたヴィンテージと評価されています。
オーストラリア
2016年のオーストラリアは、地域によってヴィンテージの出来にばらつきが見られましたが、全般的に良好な品質のワインが生産されました。
南オーストラリア (South Australia): バロッサ・ヴァレー (Barossa Valley) やマクラーレン・ヴェール (McLaren Vale)、クナワラ (Coonawarra) といった地域では、全般的に良好なヴィンテージでした。シラーズ (Shiraz) やカベルネ・ソーヴィニヨン (Cabernet Sauvignon) は、凝縮感がありながらもバランスの取れたワインが生産されました。
西オーストラリア (Western Australia): マーガレット・リヴァー (Margaret River) も成功したヴィンテージで、品質の高いカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネが生産されました。
ヴィクトリア (Victoria) / ニューサウスウェールズ (New South Wales): 一部地域では、春の涼しさや夏の乾燥、そして収穫期の天候変動の影響を受け、品質に差が出た地域も見られます。
全体として、オーストラリアの2016年は、多くの主要産地で品質の高いワインが生産された、成功したヴィンテージと評価されています。
