2012年もまた、輸入元さんからセミナーの内容を頂きましたので、下記にご紹介させていただきたいと思います!ご興味ある方は下記ご覧下さいね。
(以下輸入元資料)
2012年ドミニク・ローラン来日試飲会&セミナー
皆様ようこそいらっしゃいました。
私自身のブルゴーニュのワインに対する考えを聞いたいただける機会を設けていただいたことを嬉しく思います。
私のワインにつきまして色々なことが言われています。
昔ながらの手作業の醸造方法で生産されたワインは造り手の性格に似てきます。
機械工業的に造られたワインは機械的な味わいがするものです。
私のワインの特徴を表現すれば、「誠実さ」「寛大さ」という2つの言葉を上げたいと思います。
(映像の説明、別紙にて)
これからテイスティングの合間に、私の醸造哲学をお話ししたいと思います。
通常とはかなり真逆の醸造哲学を持っているということがお分かりいただけるのではないかと思います。
1.ドメーヌ・ローラン クレマン・ド・ブルゴーニュ ウルトラ・ブリュット
クレマン・ド・ブルゴーニュ ウルトラ・ブリュットになりますが、これはドザージュなしのクレマンです。
通常ブルゴーニュでクレマンを作るとなると、まずは収穫量を高めた上、早い段階で収穫するということを行うのが一般的です。ですが、私はそれらのものとは全く逆の方法でこのクレマンを造りました。
まず収穫高を極力抑え、収穫時期も出来るだけ遅くしました。こちらはブラン・ド・ブランです。シャルドネとアリゴテを使っています。ワインは樽熟成をさせています。二次発酵までにかなり長期に熟成させています。その後、シャンパーニュと同じように、15ヶ月間シュール・リーの状態で保存しておきます。
収穫が非常に熟した状態で、そして凝縮したぶどうを手に入れることが出来ましたので、ワインは非常にピュアなものになっています。ドザージュも一切していませんが、酸味だけが際立つということのない仕上がりになっていると思います。
まだ今の段階ではアロマの中に発酵に由来する香りが残っています。これはまだボトリングして間もないためです。しかししばらく時間が過ぎれば、この香りは皆さんが好まれる、グリルしたブリオッシュの香りに変化していきます。
このクレマンをご紹介するのは初めてですので、是非皆様のご意見をい聞かせいただきたいと思います。
2.ドミニク・ローラン ジュヴレ・シャンベルタンVV2009年
こちらはジュヴレ・シャンベルタンのヴィエイユ・ヴィーニュとなります。
こちらのアイテムの印象は、『家族』的なワインであるということだと私は思っています。なぜかというと、このキュヴェに使っているワインのうち、私が醸造しているのは60%、残りの40%は私の妻であるシルヴィ・エモナンが醸造しているからです。
こちらの銘柄のブレンドはとても興味深いものになっています。といいますのは、このワインはジュヴレ・シャンベルタンにある全てのヴィラージュが入ったようなブレンドになっているからです。
私が醸造しているのはブロション側のパワフルな味わいを持つ区画のワインです。マジシャンベルタン近くにあるプルミエクリュのワインを20%ブレンドしており、ワインに気品を与えています。この区画も私が醸造しています。
私の妻が醸造している40%は、グランクリュ側からは下にある地域、村から出たあたりのぶどう園のものを使っています。このあたりのワインはかなり多くの性格を表現しているワインになります。このワインに複雑味を添えたり、洗練された部分を添えたりしているのは、妻が醸造した40%分になります。
非常にリッチでパワフルなワインですが、その中に微かにカシスの香りが感じられると思います。このカシスの香りが感じられるのは、除梗していないぶどうを使っていることによるものだと思っています。このような醸造法を私がとっているのは、今から1000年程前、初めてこのブルゴーニュでワインが造られた時には、全く除梗しない状態でワインが造られた、という昔風の造り方を重視しているためです。この除梗しない方式というのは、温度を高めなくても発酵槽の中で発酵は進んでいく、というメリットがあります。
こちらは10年後に最高の飲み頃に達するのではないかと思いますが、長熟と言われるビンテージにも関わらず、今飲んでも既に美味しいワインになっていると思います。
3.ボーヌ・プルミエクリュVV2009年
3番目のワインはボーヌ・プルミエ・クリュ・ヴィエイユ・ヴィーニュです。
今日このワインをテイスティングセミナーとしてお選びいただいたことは非常に嬉しいことです。
このワインは、私が初めてワイン造りを行った時の銘柄だからです。その当時も今と同じ、この黒いラベルでした。
この黒いラベルの銘柄は、ドミニク・ローランが創業当初、20年ほど前から作っている銘柄です。
今は亡くなってしまいましたが、私が師と仰いだ老いたワイン生産者、その造り手の造り方に従って造ったワインです。昔ながらの伝統を遵守し、除梗していないぶどうを使っていること、そしてぶどう樹の栽培も、非常にシンプルで昔ながらの栽培方法をとっているということ、つまりは私のお気に入りのワインの一つなのです。
ブルゴーニュの中でも近代化が進み、今まで行われていた古い栽培方法が失われていく、そんな中で私は30年前にこのワイン、そして後に師と呼ぶようになったこのワインの生産者と出会いました。
50年に渡り近代化の中で失われてきた様々な伝統的な手法、木の発酵槽を使うということなど、それら昔ながらの手法で造ったワインです。
もちろん除梗しない状態のぶどうの房を使い、そして非常にシンプルに、昔ながらの発酵方法、何の添加物も加えずに発酵を迎えさせ、そしてワインに仕上げていく、という方法で得られたワインです。
口に含みますと、優しさを感じるワインです。そして、コート・ド・ボーヌの、燦々と日が照っている、そんな太陽の味わいというものを感じます。50年間に失われてしまったもの、それら全てがこのワインには感じられます。つまり、どれだけぶどうが自由に育てられているか、ぶどう園に風が行き交っているか、そして丁寧に耕された畑であるか、今はそういったことを遵守する人が少なくなり、消毒剤だらけの栽培ということが多くなっています。しかし私が譲り受けた畑というものはその昔のままの、天然の状態でありました。なぜならそれを所有していた人が、私が譲り受けるまで昔ながらの方法でその畑を維持してくれていたからです。
このワインには大きな信頼を寄せていただいても、その信頼に答えるワインだと思います。まず、2009年という偉大なビンテージのものであるということ。今飲んでも美味しいワインではありますが、良い状態で保存していただければ20年から30年は美味しいまま生き続けるワインです。
今そのぶどう園を維持しているのは、私が師と仰いだ方の息子さんです。その息子さんのところに行くたびに私は古いワインをテイスティングさせてもらうことをお願いしています。84年とか77年のものなど、それらは今飲んでも私に若々しい印象をもたらしてくれます。ですから今日のこのワインも、非常に若い印象を保ちながらもより美味しくなっていくことを、皆様にお約束できます。
それでは、最後のアイテムです。
4.ドメーヌ・ローラン クロ・ヴージョ スイ・ジェネリスVV2009年
スイ・ジェネリスはラテン語で、自分にしか似ているものはない、という意味のラテン語です。
こちらのワインをテイスティングしていただけると、今までのワインとの違いを如実に感じていただけると思います。私はこのワインをテイスティングすると、これは本当にそのテロワールというものを感じさせるワインだとその度に感じます。ブルゴーニュのテロワールというものには多くの等級がありますが、非常に等級の高いテロワールが表す高貴な部分というものがふんだんに現れているかと思います。
まずこちらのワインですが、2つの特徴を上げることが出来ると思います。このピノですが、非常に細かな、非常に小さな実をつけるというピノの種類になります。また収穫高ですが、法定で許された量の約半分、1ヘクタールあたり25〜30ヘクトリットルを造っています。
先程スライドでの御覧頂いた通り、こちらはクロ・ヴージョでも高い場所にある区画、グラン・エシェゾーに接する場所にある畑のものです。私が所有している70%の区画ですが、こちらは昔、最高の位のカトリックの司祭だけが飲むことを許されたという区画になっています。
私が所有しているクロ・ヴジョの区画ですが、12世紀以来細かく分断されてきました。私が持っている区画はプランタ・アベという区画です。このプランタ・アベというのは司祭専用のぶどう園、ぶどう区画、という意味があります。当時司祭の中で最高の位を持った司祭が飲むワインとして使われ、また同時にミサ用に使われたワインでもありました。そしてその区画の周りにあります区画は、ちょうどシャトーの周りに広がる区画になるのですが、こちらの区画はやはり司祭のための仕様になっていたのですが、その司祭服というのが、白い司祭服の司祭、最高の位より一つ下の位の司祭が使えるという畑でした。
そして、のこり、最も大きな構成を占める部分ですが、こちらは茶色い服を着た僧侶達の使用する区画でした。茶色い服の司祭達は畑を耕す担当でもあったわけです。
このワインは非常に若い状態にも関わらず、既にトリュフの香りが感じられるワインとなっています。土の中にある植物を感じるワインです。まだ若い段階で土の中の植物の香りを感じられるというのは非常に珍しいと思います。またタンニンですが、そのワインの中のフルーティな部分、フローラルな部分をやさしく包んでいるタンニンが感じられています。
もちろんフランスにはこういったワインに関する法律がありまして、特にグランクリュというのは細かい規制で縛られておりますけれども、その法律がグランクリュに指定しているところのクロ・ヴージョの部分のものは、若いうちにはかなり固く閉じた遺伝子を持っているものが通常とされています。
特にクロ・ヴージョなんですが、こちらは第二の誕生と呼ばれる時期を迎えるワインという点で有名でもあります。つまりそのワインが10年ほどたった時に、急に一気にアロマが爆発的な状態で出てくる、大体8年から10年くらいの間のすぱんがありますが、ある日突然そのようなアロマというものがふんだんに溢れでてくるという性格を持っています。
こちらのように非常に優しく育てられたクロ・ヴージョでありましても、やはり10年くらいの間は
表現力が控えめであるというクロ・ヴージョの特徴を持っています。そしてその第二の誕生の時期を迎えますと非常にフローラルな香り、これは野生のバラですとかオードローズの香りが大変芳しく漂ってくる、異常にクロ・ヴージョらしい展開になってきます。
大変偉大な年のワインですので、10年くらいはその段階に至るまでにかかるかな、と思っています。 |