【ドメーヌ・クリストフ・ブリチェック】
Domaine Christophe BRYCZEK
ポーランド生まれの彫刻家でもあったジョルジュ・ブリチェック氏は1938年、戦禍を逃れるように単身渡仏。ブルゴーニュで生産者としての修行を始め、ドメーヌは1953年に創設されました。
ブリチェック家は、バチカンの洗礼を受けており、彼のワインカーヴの中は教会のように見事な装飾が施されています。
その強烈な信仰心で同じポーランド出身だった前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の法王就任に感激し、所有する最高のキュヴェに「キュヴェ・デュ・パプ・ジャン・ポール2世」と名付けています。これはバチカンの許可も受けています。
栽培はリュット・レゾネですが、基本的にはビオロジックで有機肥料を使用します。除草剤など化学的な介入は行わず、微生物の活動を活発にする為に土を耕すなど基本の仕事をひたすら繰り返す事が大事だと言います。
ビオディナミではボルドー液を多用する傾向にあるので、それとは違うアプローチを模索し続けています。
厳密で細やかな剪定と芽掻き作業によって収量を制限しています。(ブドウ樹一株あたり、収量は6〜8房)
収穫は手作業で行い、果実を傷めないよう小箱を使用。古樹のブドウをふんだんに使い、古典的な醸造法で造られるワインは清澄のみを行い、濾過はしません。
凝縮感のある味わいと芳醇で強烈な香りを持つワインは十数年の熟成が十分に可能です。
2003年より先代・エドワード氏から息子のクリストフ氏へと代替わりしています。クリストフ氏の代になり、エレガントで優美なスタイルへと変わりつつあり、新たに多くのファンを世界中で増やしています。
所有する畑
GEVREY CHAMBERTIN AUX ECHEZEAUX
CHAMBOLLE MUSIGNY
MOREY ST DENIS
MOREY SAINT DENIS 1ER CRU
【2009年ヴィンテージについて】
2009年の収穫は9月12日に開始した。40人程度を動員して2日間で全ての畑の収穫を終えた。熟度と酸度がバランスの取れた絶妙なタイミングを見計らって短期間で収穫するのが彼のスタイルだ。
2009年はブルゴーニュでは考えられないほど暑かった。その恩恵もあって例年以上の高い熟度は得られたが、代わりに酸は低くなった。これはどのドメーヌも状況は同じだった。
その為、ブリチェックは酒石酸と同じ成分の酸を醗酵中に若干加えたそうだ。これは2003、2005年のブルゴーニュで特に暑かった年にも同様に行われた。彼の好み以上にファットな果汁だった為に加えられた。
過剰に熟した果実はピノ・ノワールの洗練されたニュアンスを表現することは難しいという。甘く飲みやすいだけのワインは凡庸でフィネスを感じることはできないと考えているからだ。
かといって収穫を早めると、果汁に必要な成分を得ることは出来ない。そんな時、彼はピノ・ノワールから抽出した酒石酸を加えるそうだ。これにより果実味、タンニンのバランスを的確に表現することが出来ると彼は言う。 |