ジャック・セロスが『赤く燃える太陽』なら、
シモン・セロスは『碧く光る月』である
個性派RM(レコルタン・マニピュラン)の象徴、スパークリング界のコルトン・シャルルマーニュと称される程、力強く濃密なシャンパーニュを生み出すジャックセロスは、カリスマ的存在となりシャンパーニュ業界を賑わせました。
本日ご案内のシモンセロスはそのジャック・セロスとは対照的、極限までピュアで繊細極まりない味わいを表現した、もう片方のセロス家が造るシャンパーニュです。
相対する味わいのシャンパーニュを生み出す両家ですが、互いに自身の理論に忠実で、非常にレベルの高いシャンパーニュである事は間違いありません。それぞれのワインの特性をシチュエーションに合わせて使い分けたいですね!!
現当主は従兄弟同士
元々アヴィーズを中心としたセロス家の畑は、ジャック・セロス氏とその妹オデット・セロスさんが半分ずつ継承しました。
オデット・セロスさんがクリスチャン・シモン氏と結婚して誕生したのがRMシモンセロス、現当主はフィリップ・シモン氏が務めています。
RMジャック・セロスは現在アンセルム・セロス氏が引き継いでおり、フィリップ氏とは従兄弟の関係にあたる事になります。
対照的な味わい
ジャック・セロス:樽熟・樽発酵で濃密に
「ブドウのはっきりとした個性を、ワインの中に表現しなければならないのだ」
ジャックセロスは徹底したビオディナミ農法に加え、樽熟成に加え樽発酵、非常に長い瓶内熟成を施し、長いものでは8年という、独自の醸造法を見出し、今までにない程力強く濃密な、こだわりのシャンパーニュを造り出しました。
支持者は徐々に増え、今ではジャックセロス風の濃厚なシャンパーニュを造るRMも増えてきました。 |
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シモン・セロス:極限までピュアに表現
対して、「コート・デ・ブランのシャルドネが持つぶどう本来の繊細な味を、極限までピュアに表現する。それが、美味しい料理に本当の意味で合うシャンパンであると、信じています」
(「従兄弟は、アヴィーズとRMの振興に大きな貢献をしてくれた」と感謝する一方で、「ただ私自身は、シャルドネを樽発酵すると、ぶどう本来の美点は感じられなくなると考えています」) |
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そう示すシモンセロスは、醸造については極めてシンプルで原理的な手法を貫き、あくまでシャルドネの持つピュアな部分に着目、エレガントでスリムなブラン・ド・ブランらしいフレッシュさや軽やかさをもった味わいに仕上げます。
この対照的な両方のセロスを扱うロンドンのワイン商は、
「ジャック・セロスが『赤く燃える太陽』なら、
シモンセロスは『碧く光る月』」
と表現したそうです。 |
「スリムボディで、きめ細かい」
泡はきめ細かくたっぷりと泡立ちがよく、青リンゴのフレッシュな香りがトップノーズに香ります。
口に含むと非常にバランスの良い飲み口。細かく上品な気泡が長く続き、軽やかさと爽やかさ、ブラン・ド・ブランならではのエレガントさを持ち合わせます。
果実香も強すぎず、癖のある樽香も一切ないピュアな状態で、ピュアでクリアーでありながら、清々しい白い花のブーケや、柑橘類の爽快な香り、食パンやミネラル等の繊細な味わいが優しく広がり、単調にならないのが、上質なブラン・ド・ブランの素晴らしいところ。 |
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女性にブランドブランのファンが多いのも、この繊細で美しいエレガントさに魅せられる人が多いからでしょう。
先日も多くのシャンパーニュが並ぶ試飲会の中、周りを見渡して気がついたのですが、シモンセロスのファンは密かに増えてきている様子で、特に女性の方に人気の様子でした。
私も元々大好きなシャンパーニュですが、改めてその美しい造りを実感。インパクトのあるタイプではないですが、バランスの良さや飲み心地の良さがもう一度飲みたいと思わせる味わいです。 |
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ジャックセロスの「濃厚」で「飲み応え」のあるタイプとはまさに対照的とも言えるタイプですね。ジャックセロスは金額的にも高額ですしワイン会や特別なシチュエーションで頂くとして、普段使いにはシモンセロスを飲みたいです。
日本料理に合わせて。毎日飲み飽きない。
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普段手元に置いておきたくなる「飽きない」味わい。
お造りから薄くお出汁で煮た煮しめ、春野菜の天ぷら、ウナギの白焼き、焼き魚・・・
日本料理など繊細な味わいを大切にするお料理とも相性が良さそうです。 |
コート・デ・ブランの繊細で美しい味わい
「白い丘」という意味を持つ「コート・デ・ブラン」というこの土地。エペルネの東に広がり、美しいシャルドネの銘産地。
クリュグの所有するクロ・デュ・メニルがあるのもこの地域です。ピエール・モンキュイやサロンなど、ブラン・ド・ブランで名高いメゾンがいくつも存在します。
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